サステナビリティ

サステナビリティ基本方針
医療ケアの十分な確保が困難な“医療ケア難民”、地域医療の疲弊・破綻など、少子高齢多死社会を迎えた日本では医療に関する社会課題が数多く存在しています。
私たちは、こうした社会課題一つひとつを解決していくための第一歩として、ホスピス「医心館」という独自の事業を提案、実践しています。医心館 名張の開設以降、都市部から過疎化が進む地方まで様々な地域で事業化し、全国展開を進めてきました。
私たちは、その過程で最期まで医療(療養)を受けながらその人らしく安心して暮らす場を提供できる可能性を示したことで、医療介護業界に「ホスピス」という事業領域を確立しました。
しかし、未曾有の少子高齢多死社会といわれる日本には、まだまだ解決すべき社会課題があります。私たちは、今後も「志とビジョンある医療・ヘルスケアで社会を元気に幸せに」をミッションとして掲げ、“仕組みのイノベーション”によって社会課題の解決に取り組んでいきます。さらに医心館の開設・運営をはじめとした企業活動や事業を通じて医療やヘルスケアの進歩に貢献し、その恩恵をあまねく人々が享受できる社会の実現に向けてひたむきに業務を推進します。
企業活動・事業の展開にあたっては、環境・社会・ガバナンスの観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、ステークホルダーの皆さまとの信頼関係の構築に努め、企業価値の向上と持続可能な社会の構築への貢献を両立させていきます。
仕組みをイノベーションすることで、社会課題の解決に貢献します。
地域ごとの多種多様な医療ニーズに企業活動を通じて応え、
地域医療を支えます。株主の期待に沿えるよう、成長を維持加速しつつ、迅速、
正確かつ公平な情報開示をします。従業員の個性を尊重し、働きやすく働き甲斐のある、
多様性に富んだ環境を整備します。取引先等との公平かつ透明な取引関係の構築を重視し、
腐敗・汚職の防止を徹底します。
マテリアリティ
当社は、企業活動及びステークホルダーへのインパクトの観点から、優先的に取り組むべき重要課題として、以下のマテリアリティを特定いたしました。ESG推進委員会を中心にこれらの課題に取り組むことで、社会に対する継続的な貢献と当社の企業価値向上の両立を目指していきます。
医療の地域間格差のない社会の実現
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企業活動や事業を通じて、社会・地域の抱える医療課題の解決に取り組み、それによってあまねく多くの人々が医療・ヘルスケアの進歩の恩恵を享受できる社会の実現を目指します。
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自然と調和したオペレーションの実現
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気候変動や資源循環への対応促進をはじめ、環境に配慮した取り組みを行っていきます。
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ひとりひとりが生き生きと働ける職場の実現
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組織の力を最大限に発揮するために、多様なバックグラウンドを持つ個々人を尊重し、すべての従業員が働きやすく、働き甲斐のある、多様性に富んだ職場を整備します。
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社会・地域からのさらなる信頼獲得の実現
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社会・地域から信頼される企業となるために、企業倫理を強化し、法令遵守を徹底します。
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環境
社会課題への対応
【社会への貢献】
国は、医療を効率的に提供するため“病院完結型医療”から“地域完結型医療”への転換を推進しています。
しかし医療依存度の高い方々は、この制度設計に従って退院しようにも状態の急変に注意しながら24時間体制のケアを必要とするため、退院後の受け入れ先が非常に限られています。退院後の療養先が見当たらない――。そのような差し迫ったニーズに応えるのが医心館です。医心館の開設・運営を拡大していくことは、医療ケア難民という社会課題の解決に繋がると考えています。
また、医心館は強固な看護体制のもとで最期まで責任を持ってケアを提供しており、医心館での看取り率は98%と高く、地域の医師をはじめとする医療従事者や介護従事者からの信頼に繋がっています。
当社は医心館が広く社会へ貢献できるよう様々な地域に展開しており、開設後も広報活動に努め、入居者数・入居者層の拡大を図っています。
【地域医療への貢献】
医心館は、“医師機能のアウトソーシング”、地域の医師等が集う“シェアリング病床”という発想に基づく新しいコンセプトの施設です。病院から諸機能を落として大幅なコスト圧縮を実現したモデルでもあり、過疎化が進む地方を含め、地域特有の医療ニーズに柔軟に対応することができます。開設に当たっては、各地域の問題点を把握し、その問題解消に努めるべく地域の医療・介護従事者へのヒアリングを丁寧に行っています。
また、医師機能をアウトソーシングしているので、医心館を開設しても地域の重要な“医療インフラ”である医師の配置を分散させることはありません。
医心館の開設・運営を進めることで、医療の地域間格差の是正、医療機関の在院日数短縮化に貢献し、地域医療にとって欠かせないプラットフォームとなることを企図しています。
【地域雇用の創出】
当社は原則、各地域の居住者を医心館の従業員として採用しています。毎年20施設程度を新規開設することにより、地域雇用の創出に貢献しています。
また、看護師・介護士については、派遣会社を利用せず、直接雇用をしています。
資源への配慮
当社は省資源活動の一環としてペーパーレス化を推進し、クラウド会計システムや電子契約を導入しました。また、電子帳簿保存法の対応を促進しています。
さらに、食品ロスの削減にも取り組んでおり、施設で提供する食事は必要量に応じて調理しやすいクックチル方式を導入しています。
また、気候変動への対応に関しては、CO₂の排出量を可視化するとともに、カーボンニュートラルの実現に向けて、2050年までに排出量0を目指します。排出量削減のため、照明のこまめなスイッチオフやエリアごとの空調管理などを実施しています。
社会
多様性
【障がい者雇用】
当社は組織の力を最大限に発揮するために、多様なバックグラウンドを持つ個々人を尊重し受容します。
その一環として、障がいのある人を直接雇用するとともに、多様な人材がいきいきと活躍できる仕事の仕方や職場作りをめざし、日々様々な工夫をしています。
今後も、多様な個人が能力を最大限に発揮できる組織づくりと人材育成に取り組み、報酬や教育、昇進機会等について、性別・国籍・障がいの有無等によらず平等に機会を提供します。
【女性活躍の推進】
当社は全従業員に対する女性比率が約85%で、本社や医心館の各拠点において女性が多く活躍しています。
また、管理職での女性比率は約80%、本社経営会議では約40%となっており、女性が活躍できる組織体制を構築しています。今後は2025年までに経営会議での女性比率50%を目指します。
【多様な個人の活躍】
当社は各人のライフステージに合わせて幅広い世代の看護師が働ける環境を整備し、潜在看護師予備軍の受け皿として機能しています。
医心館では、最期を迎える方が多いからこそ、症状マネジメントや疼痛コントロールはもちろん、意思決定支援やスピリチュアルな側面のケアも必要となります。そのため、自身のスキル・知識や看護観を発揮することができる職場として、多くの看護師が活躍しています。
また、本社看護介護部、地域連携部、コンプライアンス部、採用部など、医心館の現場以外でも看護師が活躍しており、看護師としての経験を様々な形で生かすことができる環境となっています。看護師以外にも、本社では様々なバックグラウンドを持った従業員が各医心館と連携しながら日々業務に従事しています。
働きやすい環境づくり
【ワークライフバランス】
当社は、職種の特性に応じてリモートワーク制やフレックスタイム制を導入し、コロナ禍での働き方の変化に柔軟に対応しています。
また、質の高いサービスを提供するためには、従業員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる職場環境が非常に重要であると捉え、医心館の従業員を含めた全従業員の残業時間を本社にて管理しています。残業が多い従業員に対しては、上長含め、対応策についてヒアリングを実施しています。
【フォロー体制】
当社は、働きやすく、働き甲斐のある職場づくりのため、従業員の声を聞くことを重視しており、以下のような取り組みを実施しています。
- 入職者/開設前オリエンテーション
- 拠点従業員との(対面/オンライン)面接
- 入職後/退職前アンケート
- 半期に1度の上長との評価面談
【能力向上のための取り組み】
当社は、従業員の能力向上のため、以下のような取り組みを実施しています。
- 必要な資格取得に向けた受講料や受験料の補助
- 入職者:入職者/開設オリエンテーション、拠点OJT、拠点研修
- 看護管理者:拠点研修、管理者教育プログラム、多職種教育研修(コンプライアンス/感染対策)、管理者ミーティング、電話/webによるフォロー体制
ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの考え方
当社は持続的な成長及び発展とその先にある社会全体の幸福に貢献することを目指しています。また、すべてのステークホルダーの利益と信頼関係に価値を置いています。これを実現していく過程では、株主の権利を重視し、また社会的信頼に応えることが必要であると捉え、コーポレート・ガバナンスの確立と強化が経営上の最重要課題と考えています。
コーポレート・ガバナンスの詳細はこちらをご覧ください。
【取締役会】
当社の取締役会は、取締役5名(うち社外取締役2名)で構成され、適切な人数で構成されています。迅速かつ機動的に重要な業務執行に関する意思決定を行うにあたり、経験、知識、専門性などの多様性を確保し、法令・定款に定められた事項、経営方針、事業戦略、年度事業計画のほか、経営に関する重要事項の決定を行っています。また、全ての監査役が出席し、取締役の業務執行の状況を監視できる体制を整えており、原則として毎月1回開催しています。また必要に応じて臨時取締役会を開催し、適正かつ効率的な業務執行ができる体制を整備しています。
【監査役会】
当社の監査役会は、監査役3名(全員が社外監査役であり、うち1名は常勤監査役)で構成され、各監査役の監査の有効性及び効率性の確保並びに監査役間での意見交換を目的に、原則として毎月1回開催するほか、必要に応じて臨時監査役会を開催しています。また、監査役会においては「監査役会規程」及び監査基準等の整備、監査計画を策定し、監査実施状況、監査結果等について監査役間で共有しています。監査役は取締役会等の重要な会議に出席し、必要に応じて意見陳述を行う等、取締役の業務執行をモニタリングしています。また、内部監査室及び会計監査人と連携をとることで、監査の有効性と効率性の向上を図っています。
【経営会議】
当社の経営会議は、取締役、監査役、執行役員及び各部門長等で構成されています。原則として毎週定時開催するほか、必要に応じて臨時開催しています。なお、特に重要な案件では、経営会議で予め十分な検討等を行ったうえで取締役会に付議しており、取締役会における審議の充実と適正な意思決定を確保しています。
【指名報酬委員会】
当社の指名報酬委員会は、取締役の指名、報酬等に関する手続きの公正性、透明性、客観性を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることを目的とし、取締役会の諮問機関として指名報酬委員会を設置しています。指名報酬委員会は、代表取締役1名、社外取締役2名で構成され、役員の指名・報酬等の特に重要な事項について定期的な確認と、取締役会に対する適切な助言を行っています。また、常勤監査役1名が出席し、適宜意見を述べることで委員会のモニタリングを行っています。
【特別委員会】
当社の特別委員会は、支配株主との間に発生する取引について、一般の取引条件と同様の適切な条件とすることを基本方針とし、取引内容及び条件の妥当性について、その公正性および合理性を確保し、当社の少数株主の利益保護に資するため、必要に応じて審議しています。特別委員会は、社外取締役2名、社外監査役3名で構成し、委員長は委員の互選により選定しています。
コンプライアンス
【コンプライアンス推進体制】
医心館では医師機能を外部化することにより、事業の透明性と公正性を担保していますが、当社はその他にも以下の取り組みを行うことにより、コンプライアンス面の強化を推進しています。
- 法令基準の遵守や業務の質向上等を目的とした研修を実施
- 入職時にインサイダーに関する研修を実施
- 個人情報の開示制度を整備
- 公正取引の徹底のため、贈答または接待を行う場合は金額の多少にかかわらず、稟議承認が必要
- CSR担当役員(取締役:山口真吾)、ESG推進委員会を設置
【ホットライン・システム】
当社は拠点から社内外に対して相談できる体制を構築し、悩みや問題を抱え込まない組織づくりに努めています。
- 社内:本社看護介護部に社内ホットライン(相談窓口)を設置し、聴取状況により拠点指導、管理者への連絡、面談の実施、改善対応を実施
- 社外:外部弁護士に直通の内部通報制度を整備
【反社会的勢力排除に向けた考え方及びその整備状況】
当社は、社会の秩序や安全に脅威を与え、健全な経済・社会の発展を妨げる反社会的勢力との関係を遮断するため、「反社会的勢力に対する基本方針」を定め、これに従い全社的に行動しています。
反社会的勢力との関係を排除する取組として、「反社会的勢力対策規程」及び「反社会的勢力との関係遮断に関する基本規程」を定め、新規取引開始時の取引先調査だけでなく、既存取引先との取引の継続についての定期的な取引先調査を実施しています。また、当社の重要な会議や、子会社の施設ごとに実施している入社時オリエンテーション、朝礼などの機会を利用し、定期的に、その内容の周知徹底を図っています。さらに、全国暴力追放運動推進センターに加入し、反社会的勢力に関する情報の収集に努めるとともに、種々の情報、事案等に関して随時警察及び顧問弁護士と協議して対処しています。
ESGデータ
環境
【電気使用量・CO₂排出量】
2022年9月期 | 定量的目標 | |
---|---|---|
SCOPE1 (t-CO₂) | 2,160 | ― |
SCOPE2 (t-CO₂) | 4,348 | ― |
SCOPE1,2合計 | 6,508 | ― |
電気使用量(MWh) | 9,848 | ― |
CO₂排出量原単位 | 0.28 | 0 (2050年) |
※1 CO₂排出量原単位はCO₂排出量(t- CO₂)/売上高(百万円)で算出しています。
社会
【従業員】
2019年 9月期 |
2020年 9月期 |
2021年 9月期 |
2022年 9月期 |
|
---|---|---|---|---|
従業員数 | 594 (190) |
972 (217) |
1,446 (301) |
2,184 (416) |
平均勤続年数 | 1.3年 | 1.4年 | 1.6年 | 1.5年 |
(参考) 施設の平均運営年数 |
2.4年 | 2.5年 | 2.6年 | 2.8年 |
平均年齢 | 36.0歳 | 36.5歳 | 39.3歳 | 38.3歳 |
※1 従業員数は、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。臨時雇用者(パートタイマー及び嘱託社員を含み、人材会社からの派遣社員を除く)については年間の平均人員数(1日8時間換算)を()外数で記載しています。
【女性割合】
2019年 9月期 |
2020年 9月期 |
2021年 9月期 |
2022年 9月期 |
定量的目標 | |
---|---|---|---|---|---|
従業員における 女性割合 |
85% | 85% | 85% | 85% | ― |
管理職における 女性割合 |
75% | 65% | 75% | 80% | ― |
経営会議における 女性割合 |
33% | 30% | 33% | 40% | 50% (2025年) |
※1 期末月の比率を記載しています。
ガバナンス
【取締役会】
2019年 9月期 |
2020年 9月期 |
2021年 9月期 |
2022年 9月期 |
定量的目標 | |
---|---|---|---|---|---|
開催回数 | 30 | 18 | 18 | 17 | ― |
取締役平均出席率 | 99% | 96% | 100% | 97% | ― |
取締役数 | 6 | 7 | 5 | 5 | ― |
社外取締役数 | 1 | 1 | 1 | 2 | ― |
社外取締役比率 | 17% | 14% | 20% | 40% | 50% |
女性取締役数 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1名以上 (2025年) |
※1 期中に就任した役員については、就任以降の出席実績に基づき記載しています。
※2 役員の人数については、各期中に退任・辞任した役員も含めています。
【監査役会】
2019年 9月期 |
2020年 9月期 |
2021年 9月期 |
2022年 9月期 |
|
---|---|---|---|---|
開催回数 | 15 | 12 | 13 | 13 |
監査役平均出席率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
監査役数 | 4 | 3 | 4 | 3 |
社外監査役数 | 4 | 3 | 4 | 3 |
社外監査役比率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
※1 期中に就任した役員については、就任以降の出席実績に基づき記載しています。
※2 役員の人数については、各期中に退任・辞任した役員も含めています。
【指名報酬委員会】
2019年 9月期 |
2020年 9月期 |
2021年 9月期 |
2022年 9月期 |
|
---|---|---|---|---|
開催回数 | 1 | 2 | 1 | 2 |
平均出席率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
出席者数 | 3 | 3 | 3 | 4 |
社外出席者数 | 2 | 2 | 2 | 3 |
社外出席者比率 | 67% | 67% | 67% | 75% |
※1 期中に就任した役員については、就任以降の出席実績に基づき記載しています。
【特別委員会】
2019年 9月期 |
2020年 9月期 |
2021年 9月期 |
2022年 9月期 |
|
---|---|---|---|---|
開催回数 | ― | ― | ― | 1 |
平均出席率 | ― | ― | ― | 100% |
出席者数 | ― | ― | ― | 5 |
社外出席者数 | ― | ― | ― | 5 |
社外出席者比率 | ― | ― | ― | 100% |